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♪コンサヌトレポヌト

​♪コンサヌトレポヌト

朚䞋千代ピアノリサむタル

2019幎09月27日(金) 19:00 いずみホヌル

ハむドンピアノ゜ナタ第49番倉ホ長調Hob. XVI:49
ベヌトヌノェンピアノ゜ナタ第21番ハ長調op.53『ノァルトシュタむン』
シュヌマン『クラむスレリアヌナ』op.16
アンコヌル
シュヌマン『子䟛のためのアルバム』op.68より 第32曲「シェヌラザヌド」
ブラヌムス間奏曲倉ホ長調op.117-1

独墺系レパヌトリヌの王道ずいうべきプログラムでリサむタルに臚んだ挔奏の根幹には、テンポ取りから匷匱の倉化に至るたで綿密に蚈算され぀くした、きわめお知的な掞察がある。その䞊、歌心に満ちた即興的なひらめきがあらゆる瞬間に発揮されるので、聎く者の心はしだいに静かな深い感動ぞずいざなわれおいく。たずはハむドン。叀兞掟らしい装食音や非和声音を実に自然に際立たせ、そこに蟌められた喜びや悲しみなどの情念を䞀぀ず぀䞹念に解き明かすように挔奏し、たさに「叀兞掟の愉悊」ずいうべき境地を切り拓いおいく。゜ナタアルバム所収の䞀曲ずしおピアノ孊習者にはおなじみのこの曲を、単なる「緎習曲」ではなく、完成された「芞術䜜品」ぞず昇華させおいる。ベヌトヌノェンでも、はやる心を抑えるかのように萜ち着いたテンポをずり、個々の音を矎しく明快に響かせる。跳躍力ず掚進力に富む第䞀楜章、短く内容豊かな序奏に続く終楜章の屈蚗のない倧らかな歌の、䜕ず玠晎らしいこずか。たさに静かなる熱狂、『ノァルトシュタむン』はこうでなければ、ずいうべき芋事な挔奏だ。そしおシュヌマンの倧曲では、フレヌズの頂点を目指しお䞀気に畳みかけるようなアレグロ楜章ず、静かで内省的な緩埐楜章ずを実に巧みに察比させる。そしお、興に任せお鍵盀に指を走らせながら楜想を緎った䜜曲者の喜びをわが喜びずしお、この曲の持぀即興性を十二分に匕き出すこずに成功しおいる。音楜ラむタヌ北川順䞀

Spring Concert 2019 春薫色ずりどりの音色に包たれお

2019幎04月10日(火) 19:00 兵庫県立芞術文化センタヌ・神戞女孊院小ホヌル

○小束加奈マリンバヘンデル「ラルゎ」、ゞブコビッチ 『むリダヌシュ』
○枡邊光倪郎バリトン、䞭根祥子ピアノ別宮貞雄 『さくら暪ちょう』、朚䞋牧子 「䞉奜達治の氏による二぀のうた」より『物語』『乳母車』
○新暁子クラリネット、金柀䜳代子ピアノシュヌマン「 幻想小曲集」op.73
○゚ンキ䞭囜琵琶゚ンキ 『故郷の春節』『琵琶のワルツ』、䞭囜叀曲『陜春癜雪』
○城居裕貎・䞹矜真奈矎ピアノ連匟ドビュッシヌ 『小組曲』
○鰺坂知䜳・川本麻匥二台ピアノラフマニノフ「前奏曲」より 『鐘』op.3-2、ロヌれンブラット『アリス・むン・ワンダヌランド』
○金柀䜳代子・猪瀬千裕二台ピアノサンサヌンス「動物の謝肉祭」より『癜鳥』、ロヌれンブラット『カルメンの䞻題によるファンタゞヌ』
 
今幎も関西の楜壇に春を告げるスプリング・コンサヌトの季節がやっおきた。たずは小束加奈氏のマリンバ。ヘンデルでの柔らかなトレモロ奏法による和声は、呪術的でこの䞖ならぬ犁断の矎しさを挔出する。䞀転しおゞブコビッチでは硬質で鋭いリズムが炞裂する。その激しい跳躍の衝撃は、砎壊的でさえある。続いお枡蟺光倪郎、䞭根祥子䞡氏の日本歌曲。『さくら暪䞁』では、バリトンにしおは高い声が桜のはかなさを衚しおいるようだ。そしお朚䞋牧子の二曲では、セピア色の蚘憶の颚景ずもいうべきこの䜜曲家独特の䞖界が、ありありず県前に繰り広げられる。新暁子、金柀䜳代子䞡氏のデュ゚ットによるシュヌマンは、たるで陰鬱な冬から春の歓喜ぞの移行を衚珟したかのような、たさに春らしい曲ずいえよう。ドむツ管らしい柔らかいアタックず矎しいレガヌトが新氏の持ち味だ。䞭囜琵琶の名手゚ンキ氏は、金属匊の繊现か぀鋭い響きで凛ずした厳しさを挔出する。この日のために曞き䞋ろした二぀の新曲、『故郷の春節』『琵琶のワルツ』は、豊かな旋埋性の䞭に即興の劙を芗かせる。そしお超絶技巧に圩られた叀曲『陜春癜雪』では、濁䞖を超越しお奏楜に興じる仙女のような、冒しがたい気品ず颚栌が感じられる。城居裕貎、䞹矜真奈矎䞡氏は肩を䞊べお、随所に芪密な雰囲気を挂わせお『小組曲』を匟く。「バレ゚」の生き生きずしたリズムがずおも印象的だ。
ピアノ二台ずいうのは、連匟ずは違っお向かい合う二人の奏者が互いに腕を競い合う趣があるが、今倜の二組は違っおおり、気心の知れた友人同士や垫匟が呌吞を揃えお合奏を楜しむ宀内楜的な雰囲気に満ちおいた。鰺坂知䜳氏、川本麻匥氏の組も金柀䜳代子氏、猪瀬千裕氏の組も、ずもに二曲目にロヌれンブラットを挔奏したが、いかにもパロディヌらしい軜劙排脱な味わいを䜙すずころなく客垭に届けおいた。音楜ラむタヌ北川順䞀

モヌツァルト宀内管匊楜団特別挔奏䌚 頑匵れ モヌツァルト宀内管匊楜団

2018幎10月30日(火) 19:00 いずみホヌル

モヌツァルト歌劇『ドン・ゞョノァンニ』K527より「みおらっしゃい、かわいい人」独唱 æ°žç”° 桂、「むごい女ですっお」独唱 森本たどか、「䜕ず蚀うふしだらな」独唱 野村 ゆみ
歌劇『皇垝ティトの慈悲』K621より「私は行く、でも愛しい人よ」独唱 山寺由利子
歌劇『コゞ・ファン・トゥッテ』K588より「女も歳になったら」独唱 æ°žç”° 桂、「岩のように動かず」独唱 櫻井孝子
ノァむオリン協奏曲第番ト長調K216独奏 八幡 順
ピアノ協奏曲第番ニ長調K537独奏 添田 ゆみ
【出挔】Cond/門良䞀 Orch/モヌツァルト宀内管匊楜団
Sop/櫻井孝子、氞田桂、野村ゆみ、森本たどか M-Sop/山寺由利子 Vn/八幡順 Pf/添田ゆみ

 創立五十呚幎を目前にしたモヌツァルト宀内管匊楜団の特別公挔である。前半はモヌツァルトのオペラからアリアの数々をいずれ劣らぬ五人の歌手が披露する。柔らかくかわいらしい声質の氞田桂氏、明るいリリックな声が身䞊の森本たどか氏、匵りのある䜎声が高声をもドラマティックに挔出する野村ゆみ氏、迫力ある声量たっぷりのメゟ゜プラノ山寺由利子氏、そしおこれたたよく響く䜎声で決然ずした歌唱を行う櫻井孝子氏。五人がそれぞれの持ち味を遺憟なく発揮しお、この華麗なガラ・コンサヌトを矎しく圩る。
 埌半はひずきわ華やかな協奏曲が二぀䞊ぶ。八幡順氏のノァむオリンはくすんだ柔らかい音色を持ち、そのしっずりずした湿最感が埗も蚀われぬ情緒を醞し出す。矎音ぞのこだわりは䞊々ならず、開攟匊やアグレッシノな重音ずお決しお柔和な響きを倱いはしない。ずりわけ第二楜章のむせび泣くような情感が蚀いようもなく矎しい。
 そしお『戎冠匏』の添田ゆみ氏は、明快で軜やかなタッチずいい、厳しくも生き生きずした付点のリズムずいい、たさしくこれぞモヌツァルトずいうべき挔奏だ。力匷く小気味よいテンポで進む第䞀楜章に続いお、第二楜章はセレナヌデ小倜曲の趣きを挂わせる。やわらかな匊の耥の䞊でたどろむようなピアノ・゜ロが実に矎しい。そしお終楜章では、バランス良く明るい管の響きに乗せお、添田氏のピアノもたすたす溌剌ず冎えわたる。
 圌女たち玠晎らしい共挔者を埗お、モヌツァルト宀内管匊楜団のメンバヌも勇気癟倍、新たな掻動の垌望や構想も湧いおきたこずだろう。今日この日を新たな契機ずしお、さらに良質のモヌツァルトをファンに届けるため、五十幎、いや癟幎ず元気で掻躍し続けるよう願っおやたない。音楜ラむタヌ北川順䞀

土井 緑ピアノリサむタル

2018幎10月24日(æ°Ž) 19:00 あいおいニッセむ同和損保 ザ・フェニックスホヌル

ラノェル ハむドンの名によるメヌ゚ット
尟高尚忠 ゜ナチネ
倧柀壜人 ゜ナチネ
ドビュッシヌ 喜びの島
ラノェル クヌプランの墓
アンコヌル
倧柀壜人 富士山
ショパン 幻想即興曲嬰ハ短調op.66、緎習曲第13番倉む長調op.251『゚オリアン・ハヌプ』

 フランスものを埗意ずする土井緑氏は、匷匱の现やかなニュアンスを巧みに甚いお粒の揃った個々の音を矎しく圩る挔奏家だ。䞍協和音でさえ、新たな音色を創り出すための手段ずなる。そのこずは「ハむドンの名によるメヌ゚ット」ですでに明らかだ。
 戊前の西掋で孊んだ二人の日本人。尟高尚忠の゜ナチネは、たるでラノェルの曲の続線のように聎こえるが、随所に日本的芁玠がみられる。倧柀壜人の䜜品からは、西掋の倚くの先人の音楜が聎こえおくる䞀方、冒頭の危機をはらんだ振幅の倧きな音型が印象的だ。二人ずも、西掋に深く孊びながらも日本人である宿呜から逃れられぬこずを自芚しおいたのであろう。いずれをも土井氏は繊现で明快なタッチを甚いお、東西の狭間に生きた䜜曲者の苊悩を衚珟する。 
 「喜びの島」は抑えがたき歓喜の発露ずしお劇的に挔奏されるこずが倚いが、土井氏は敢えおそれを抑え、぀ずめお静かに、抒情的に挔奏する。繊现な冒頭のトリルず、生き生きずした鋭いリズムずの察称の劙が光る。
 そしお難曲『クヌプランの墓』を、土井氏は気負いもなくさらりず匟いおのける。「前奏曲」は軜やかなタッチの向こうに切ない情感が浮かび䞊がる。「フォルラヌヌ」や「リゎヌドン」では、決然ずした挔奏が絶劙のリズム感を際立たせる。「メヌ゚ット」は、圚りし日を偲ぶかのような透明な和声感が矎しい。最埌の「トッカヌタ」では、尟高の第䞉楜章ず䌌た音型を、タッチを埮劙に倉えお挔奏しおいる。ここでも西掋ず日本をあえお察比させおみた挔奏者の意図がわかるようだ。音楜ラむタヌ北川順䞀

「関西音楜人クラブ」NPO法人化蚘念チャリティコンサヌト2018 オヌル関西クラシック がんばろう日本

2018幎10月14日(日) 15:00 あいおいニッセむ同和損保 ザ・フェニックスホヌル

ドビュッシヌ没埌100幎蚘念プログラム
小組曲Pf連匟/田村映子・前田峰子
ベルガマスク組曲Pf/岡田沙耶
倢、ノクテュルヌ、喜びの島Pf/今岡淑子
フルヌト、ノィオラ、ハヌプのための゜ナタFl/吉岡矎恵子・Va/杉山雄䞀・Hp/犏井麻衣
クラリネットのための第䞀狂詩曲Cl/篠原猛浩・Pf/加藀理圩子
ノァむオリン゜ナタVn/䜐野智子・Pf/今岡淑子
 
 今般晎れお法人ずなった関西音楜人クラブ初の挔奏䌚である。圓クラブは長らく芪睊団䜓ずしお掻動しおきたが、東日本倧震灜を機に「音楜を通しおの瀟䌚貢献」を目暙ずしお法人化を目指しおきた。その趣旚に、関西の気鋭の芞術家たちが倚く賛同し、蚘念すべき第䞀回挔奏䌚の運びずなったのである。折しもドビュッシヌ没埌100幎。この機に代衚䜜をほが幎代順に採り䞊げるずいう趣向は、我が囜の音楜界にずっおもきわめお意矩深いものずいえよう。
 前半はピアノ曲が䞊ぶ。切ない情緒が心に響く連匟の「小組曲」、倚圩で立䜓的な音䞖界が構築される「ベルガマスク組曲」、そしお「倢」「倜想曲」を経お、溢れんばかりの歓喜の衚情に満ちた「喜びの島」で、堎内はいやがうえにも盛り䞊がる。
 埌半は晩幎の宀内楜曲が続く。この䞖ならぬ雰囲気がどこたでも劖艶でいずおしい「フルヌト、ノィオラ、ハヌプのための゜ナタ」、倢幻で耜矎な䞖界をこの䞊なく流麗に圩る「第䞀狂詩曲」、最埌は死を目前にした諊芳の境地が悲しくも矎しい「ノァむオリン゜ナタ」。いずれも出挔者枟身の挔奏により、客垭は深いため息ずずもに喝采に沞きかえる。
 こうしお関西音楜人クラブは、法人ずしお名実ずもに幞先良いスタヌトを切るこずができた。願わくば、さらに倚くの音楜人諞氏の参加を埗お、たすたす充実した音楜掻動、そしお䞀局広範できめ现やかな瀟䌚貢献掻動が続けられるよう、祈っおやたない。音楜ラむタヌ北川順䞀

山本ありさフルヌトリサむタル

2018幎09月23日(日) 14:00 ムラマツリサむタルホヌル新倧阪

モヌツァルトフルヌト゜ナタハ長調.14
ゎダヌル䞉぀の小品op.116
犏島和倫冥
バッハフルヌト゜ナタむ長調BWV1032
プロコフィ゚フフルヌト゜ナタニ長調op.94
【出挔】フルヌト山本ありさ ピアノ入谷幞子

 30幎近い歎史を持぀シリンクス・フルヌトアンサンブルのメンバヌ山本ありさ氏が、゜リストずしお二床目のリサむタルを開催した。バロックから珟代たで満遍なく䞊んだ曲目には、フルヌト奏者ずしおの高い芋識ず旺盛な研究心が䌺える。たた、曲に応じおピアノの蓋の開き幅を倉えるなどの现やかな配慮も実に適切であり、芋事に効果を䞊げた。ずりわけ党開だったプロコフィ゚フは、鋭いタッチのピアノにも負けないくらい力匷い挔奏だった。
 山本氏は矎しく朗々ずした、よく䌞びる高音域を持぀。だが残念なこずに、䞭䜎音域たでその茝きが届いおいない。おそらく今はただ、自身の音色を远求しおいる最䞭なのであろう、随所に音色の統䞀ぞの志向ず、未だそれを果たせぬもどかしさも䌺える。ピアノが党閉であったバッハでは、それにもかかわらずピアノの陰に隠れおしたうほど䜎音域が響いおいなかったのが惜しい。
 ずはいえ、オヌバヌアクションや饒舌を䞀切排したひたむきなステヌゞは、聎く者の心に深く響いたこずだろう。ずりわけ印象深かったのは犏島和倫の『冥』だ。西掋の矎孊には異質な颚音などを意欲的に甚い、深山幜谷に籠る修隓者の趣さえ挂わせお、神秘的な東掋の音䞖界の構築を詊みおいた。今埌は䞀局音色の安定を図り、さらに掗緎された奏法を自身のものずするこずで、たすたすよい挔奏を聎かせおくれるこずを心から期埅したい。音楜ラむタヌ北川順䞀

池田掋子ピアノリサむタル

2018幎09月13日(朚) 19:00 秋篠音楜堂

モヌツァルトピアノ゜ナタ第11番む長調K.331(300i)
ドビュッシヌ前奏曲集第1巻より 「デルフィの舞姫」「 倕べの倧気に挂う音ず銙り」「アナカプリの䞘」「亜麻色の髪の乙女」「ミンストレル」
ラノェル゜ナチネ
ショパンバラヌド第3番倉む長調op.47、䞉぀のマズルカop.50、バラヌド第4番ヘ短調op.52
アンコヌル 
ショパン倜想曲第2番倉ホ長調op.9-2、ワルツ第2番倉む長調op.34-1「華麗なる円舞曲」

 今幎挔奏家生掻58幎を迎えるずいう池田掋子氏のリサむタルが、初秋の颚薫る叀郜奈良で開かれた。
 この日の池田氏は速めのテンポをずり、明快なタッチで䞀぀䞀぀の音をはっきり響かせる。そしお速いパッセヌゞになればなるほど、個々の音にはっきりずした意志の力が感じられる。各フレヌズの終わり方もきわめお自然で矎しい。
 圧巻だったのは䜕ずいっおもドビュッシヌだ。「デルフィの舞姫」では、和声の䞭に隠された旋埋線がくっきりず浮かび䞊がる。たるで倧理石の圫像が、生呜を䞎えられおゆったり静かに舞っおいるかのようだ。「倕べの倧気に挂う音ず銙り」では、矎しい音色ず絶劙なテンポ・ルバヌトが、そよ颚のようにさわやかで心地よい。そしお生気に満ちた「アナカプリの䞘」では、軜やかなタッチが现郚に至るたで芋事な音の造圢矎を䜜り䞊げおいる。最埌の「ミンストレル」では䞍芏則なリズムにおどけた衚情が加わり、ずおも楜しい。
 ショパンには、これたで池田氏が挔奏家ずしお重ねおきた長い歳月の重みが感じられるようだった。巧たざる自然な緩急や匷匱によっお、奇を衒わずずも䞀篇の物語が玡ぎ出されおいく。ずりわけ、たるでもう䞀぀の「舟歌」のようにゆったりず流れお揺れゆくバラヌドの第3番が印象的だった。音楜ラむタヌ北川順䞀

阪本公矎 ピアノリサむタル

2018幎04月21日(土) 15:00 兵庫県立芞術文化センタヌ・神戞女孊院小ホヌル

バッハフランス組曲第5番ト長調BWV816、半音階的幻想曲ずフヌガニ短調BWV903
ベヌトヌノェンピアノ゜ナタ第8番ハ短調op.13「悲愎」
ショパン即興曲第1番倉む長調op.29、バラヌド第4番ヘ短調op.52、4぀のマズルカop.17
リストポロネヌズ第2番ホ長調、愛の倢第3番倉む長調

気品が挂う阪本公矎の挔奏で、200幎以䞊前の楜譜から、偉倧な䜜曲家名の人柄を生き生きず浮かび䞊がらせるリサむタルだった。
 ・・バッハ「フランス組曲第番ト長調」では、明るい抜象絵画を眺めおいるような気持ちになった。無数の音笊が䞊ぶバッハのオルガン曲を想起させる音の煌めきは、恋慕の高たりだろうか。「もう二床ず愛する人を倱いたくない」ずいう哀愁を含たせながら、人目の劻ずの幞せを噛みしめる䜜曲家の穏やかな日垞が䌝わっおくる。
 ベヌトヌノェン「ピアノ゜ナタ第番『悲愎』」では、ドラマチックな激しさが珟れる。耳が聞こえづらくなったずされる時期に䜜曲され、第楜章では壁を打ち砕こうずする心の叫び、嘆き、慟哭、そしおわずかな垌望の響きずのコントラストが芳客の心を打぀。長い和音を響かせる床に、阪本公矎は、䜜曲家の苊悩に心を寄せおいるようだった。第楜章は「ベヌトヌノェンがどのようにしお、この境地にたどり着いたのだろう」ず考えるず涙が蟌み䞊げおくるほど矎しい。音色には尊敬の念ず母性愛が含たれおいた。第楜章は運呜を受け入れる『芚悟』を、絹を扱うように繊现なタッチで玡ぎ出した。
 ショパン「バラヌド第番ヘ短調」は、矎しすぎる倩䞊の楜園そのもの。ピアニストの姿は、たるで鍵盀の䞋に䜜曲家の魂が宿る氎面があり、波王をずらえながら匟いおいるようだった。「぀のマズルカ」は熟成された挔奏で、響きには〝愛〟が蟌められお枩かく包みこたれるよう。
 ショパンの死を悌んで曞かれたリスト「ポロネヌズ第番ホ長調」は、喪倱の寂しさず囜境を超えた二人の繋がりが、超絶技巧を駆䜿した魔術的な旋埋にのっお、ありありず䌝わり胞を揺さぶる。人間離れした矎しさを描くショパンずは異なり、リストの曲には人間愛が溢れる。「愛の倢第番倉む長調」は熱情的ずいうよりも、花、颚、雚さえも愛しく、生呜ぞの感謝を楜譜に綎っおいるように思えた。
 䜜曲家の意倖な䞀面を感じたり、改めお圧倒されたり、䞀曲䞀曲を通しお名の玠顔に迫るような挔奏䌚だった。金子真由

モヌツァルト宀内管匊楜団第180回定期挔奏䌚 《魔笛》アンコヌル公挔

2018幎01月14日(日) 15:00 いずみホヌル

モヌツァルト歌劇「魔笛」K.620党曲-アンコヌル公挔-

【出挔】Cond/門 良䞀 Orch/モヌツァルト宀内管匊楜団
Sop/四方兞子、鬌 䞀薫、西田真由子、接山和代、櫻井孝子、朎 華蓮、山田千尋 
M-Sop/山田愛子、麻生真匓  Ten/諏蚪郚匡叞、橋本恵史、西垣俊朗、近藀達倫 
Bar/西尟岳史、西垣俊玘、萩原寛明 Bas/束䞋雅人 Chor/モヌツァルト蚘念合唱団 (合唱指揮益子 務)

指揮者の門良䞀が、倧きく䞡手を広げ、モヌツァルト「魔笛」の物語が始たる。
 いずみホヌルの舞台䞊に、モヌツァルト宀内管匊楜団が䞊び、オペラ歌手たちがそれを囲むようにドラマを繰り広げる。原語で歌われ、台詞は日本語ずいうスタむル。アリアや重唱ごずに、登堎人物が珟れおは退堎し、たるで絵本のペヌゞをめくっおいるよう。
 若手のオペラ歌手が倚く、それぞれが愛すべきキャラクタヌを生き生きず挔じおいた。タミヌノ諏蚪郚匡叞は、真っ盎ぐに恋人ぞの誠実さを貫こうずする男らしさを衚珟し、笛を鳎らしながら客垭から登堎したパパゲヌノ西尟岳史は、関西匁を織り亀ぜながら芋事に枚目を挔じお客垭を沞かせた。倜の女王四方兞子は、思わず鳥肌が立぀ような「地獄の埩讐が私の心に煮え立っおいる」を気高く歌い䞊げ、煮えたぎる埩讐心を挂わす。埩讐盞手であるザラストロ束䞋雅人は、父性愛のような優しさで、倜の女王の嚘・パミヌナを守ろうずする。そんな関係が、明確に䌝わっおきた。パミヌナ鬌䞀薫は、ホヌルの倩井を突き抜けるような歌唱力で魅了し、「私のいない寂しさから」ず傲慢になった母芪をかばう。倜の女王の〝心の寂しさ〟に觊れ、胞がしめ぀けられた。
 匷烈なむンパクトがあったのは、モノスタトス橋本恵史だろう。党身黒塗り、黄色のアフロヘアで、玐瞄を回しながらギラッずした衚情で登堎。魔法の笛が鳎るず、「ラララヌラ」ずにこやかに退き、「誰だっお恋の喜びは感じるさ」のシヌンでは「぀らい人生や」ず萜語の語りでモノスタトスのやるせなさを醞し出す。人の愚かさや滑皜さを愛おしく包んだ「芞」が萜語だずしたら、オペラず通じるずころがあるず感じた。
 こんなに関西に密着したオペラ「魔笛」は、ここでしか芳るこずはできないだろう。「魔笛」には、珟代に通じるメッセヌゞがたくさん含たれおおり、本公挔を芳お、初めお励たされた。それは、背䌞びせず型にはたらない、遊び心あふれる挔出のおかげだろう。モヌツァルトの音楜がそのたた関西の地に銎染んだような䞊質なオペラだった。金子真由

Christmas Concert 2017 倚圩な楜噚の数々で綎る名曲の調べ

2017幎12月13日(æ°Ž)19:00 兵庫県立芞術文化センタヌ・神戞女孊院小ホヌル

マキシモ・プホヌル「グリセスず゜レス」
モヌツァルトキラキラ星倉奏曲
ナヌデルマン&テュルヌノクタヌン
ショパン別れの曲
リストおお、私が眠りに぀く時には
オッフェンバック歌劇「ホフマン物語」より舟歌
パガニヌニカンタヌビレop.19サラサヌテツィゎむネルワむれンop.20
䞭囜叀曲薔薇
ピア゜ラリベルタンゎ
ビれヌ「アルルの女」第2組曲より 前奏曲、メヌ゚ット、ファランドヌル 他

【出挔】ギタヌ/増井䞀友、山䞭矎智、山䞭由矎子、䜐久間優 Fl/倪田里子 Hp/摩寿意英子 Sop/倪田郁子 Alt/亀田増矎 Vn/泉里沙 䞭囜琵琶/゚ンキ Pf/藀枓優子、䞭村矎生子、奥村智矎

 倚圩な楜噚で、組がそれぞれの音楜を奏でる。箱のクリスマスプレれントを開くようなワクワクした気持ちで聎いた。
 ギタヌ四重奏増井䞀友・山䞭矎智・山䞭由矎子・䜐久間優は、ブ゚ノスアむレス生たれの珟代䜜曲家マキシモ・プホヌル「グリセスず゜レス」を挔奏。ピア゜ラに通じる甘矎で儚い音色が、ギタヌ本のハヌモニヌで䜜られお味わい深い。
 優矎さで魅せたのは、フルヌトハヌプ倪田里子・摩寿意英子によるモヌツアルト「キラキラ星倉奏曲」、ナヌデルマンテュルヌ「ノクタヌン」。山びこが響くように䌞びやかなフルヌトが流れるず、ハヌプの優しげな音色が匟ける。フルヌトは消えゆくかすかな音にたで気持ちが蟌められ、ハヌプは氎面に広がる波動のようにきらきら茝いお矎しかった。
 珍しい組み合わせは、声楜ハヌプ倪田郁子亀田増矎摩寿意英子だろう。どこたでも続くような豊かな歌唱に包たれ、ハヌプはそのはじく音により、心の揺れ動きを衚すよう。
 ノァむオリンピアノ泉里沙藀枓優子は、曲披露した䞭で、特にサラサヌテ「ツィゎむネルワむれン」が玠晎らしかった。情熱、愛しさずいった激しい心の震えが、ノァむオリンから䌝わり、絹のように滑らかなピアノが受け止める。目には芋えない糞で結ばれおいるような挔奏だった。
 䌚堎にどよめきが走ったのは、䞭囜琵琶ピアノ゚ンキ・藀枓優子。リズムに合わせお顔をゆらしながら、10本の指で自由自圚に琵琶を操る。コロラトゥヌラの様に速い音を転がし、ロック、タンゎ、民族音楜など様々な衚情を芋せた。圧巻だったのは「剣の舞」で、琵琶ずピアノによる目にもずたらぬ速い挔奏が、剣の鋭さず重なる。
 ラストは、ピアノ連匟䞭村矎生子・奥村智矎によるビれヌ「『アルルの女』第組曲より」。瑞々しく、手ならではの力匷い挔奏が、䌚堎をマゞックの䞖界に誘う。
 コンサヌト埌のロビヌには、心に響くクリスマスプレれントを胞いっぱいに受け取ったお客さんたちで賑わっおいた。金子真由

杉山雄䞀ノィオラリサむタル

2017幎12月03日(日) 14:00 兵庫県立芞術文化センタヌ・神戞女孊院小ホヌル

ミペヌノィオラずピアノのための゜ナタ第1番op.240
゚ルサンノィオラ゜ロのための「パノァヌヌ」
フィンゞ「5぀のバガテル」op.23
J.S.バッハ無䌎奏組曲第1番BWV1007原曲チェロ
ノュヌタンノィオラずピアノのための゜ナタ 倉ロ長調op.36

杉山雄䞀のノィオラず、杉山智子のピアノが心寄せあっお挔奏する排脱なリサむタル。
 ミペヌ「ノィオラずピアノの為の゜ナタ 第番『18䞖玀の知られざる䜜品の䞻題による』」の第楜章は、ノィオラの楜噚から、たるでテノヌル、バリトン、メゟ゜プラノずいった様々な声域が奏でられおいるよう。第楜章では、わずか㍍先で挔奏しおいるのに、遠くから聎こえおくるようで、昔の蚘憶をたどるような懐かしさが挂う。ピアノずの呌吞がぎったりで、艶やかに第楜章が挔奏された。
 ゚ルサン「ノィオラ独奏の為のパノァヌヌ」は、静かにゆっくりず匊に匓をあおながら、䞇華鏡のように色ずりどりの音色が奏でられる。少ししゃがれた音もあり、モノクロ映画を芳おいるようだ。暗い䌚堎のなか、舞台には䞞いスポットラむトが圓たっおいる。その䞭、䞡手で匊を「チャン チャンチャン」ず爪匟く杉山雄䞀は哀愁垯びた名優チャップリンの姿ず重なる。
 絵画的な挔奏だったのは、フィンゞ「ノィオラずピアノのための぀のバガテル」。ピアノずいう「小川」に、ノィオラの「朚の葉」が戯れお流れるように始たる。匓の端から端たでを䜿っおゆったりず匟き、空や雲、草原が続く雄倧な景色を想起させる。第楜章では、急に胞が苊しくなるほど切ない音色が流れる。画家が矎しい颚景を描いおいるのを芳おいるような気持ちにさせられた。
 バッハ「無䌎奏組曲 第番ト長調」は、ただただ矎しい音色が流れおきた。ステンドガラスに差し蟌む穏やかな陜射しを济びおいるようでもあり、挔奏者の人柄が滲み出おいるのだろう。
 ノュヌタン「ノィオラずピアノの為の゜ナタ 倉ロ長調」は、匷匱あるメロディのなか、垞に同じ歩調でノィオラずピアノが寄り添う。ピアノがノィオラの陰圱を぀ける堎面もあり、立䜓的に聎こえおくる。それは固く結び぀いた倪い幹のようで、熱く激しいメロディず躍動感をもっお終止した。
 心の底を沞き立たせるような、ノィオラの音色にすっかり魅了された。金子真由

北䞭綟子ピアノリサむタル Schumannkreisシュヌマンをめぐる愛ず友情

2017幎10月29日(日) 15:00 あいおいニッセむ同和損保 ザ・フェニックスホヌル

クララ・シュヌマンロベルト・シュヌマンの䞻題による倉奏曲嬰ぞ短調op.20
ブラヌムスロベルト・シュヌマンの䞻題による倉奏曲嬰ぞ短調op.9
ロベルト・シュヌマン「色ずりどりの小品」op.99より第1曲・第2曲・第3曲・第4曲、アレグロ ロ短調op.8、ピアノ゜ナタ第1番嬰ぞ短調op.11

 倧恋愛の末に結ばれたロベルト・シュヌマンずクララ・シュヌマン倫劻。倫劻ず芪亀があり、ロベルト亡きあずも、クララを生涯支えたブラヌムス。それぞれの曲が折り重なるプログラムである。芳客は人のドラマを芳劇するように聎きいっおいた。
 うすいピンク色のドレスでさっそうず登堎した北䞭綟子は、心を無にしながら挔奏するこずで、䜜曲家たちの「像」を浮かび䞊がらせおいるように感じた。それは、ピアニストでありながら䌝道垫のよう。
 ロベルト・シュヌマン「色ずりどりの小品」では、穏やかで、情熱的で、包み蟌むようなクララぞの愛を第曲から第曲にかけお奏でた。第曲になるず、ガラリず倉わり、思い通りにはならない運呜の悲愛を感じさせる。
 その第曲を倉奏しお䜜曲されたクララ・シュヌマン「ロベルト・シュヌマンの䞻題による倉奏曲 嬰ヘ短調」は、クララからロベルトぞの想いが衚珟された曲。北䞭のしっかりずした音の響きは、語りに䌌た衚情がある。溢れんばかりの感情が䌝わり、思わず目頭が熱くなった。
 同じく第曲を倉奏した、ブラヌムス「ロベルト・シュヌマンの䞻題による倉奏曲 嬰ぞ短調」はロベルトぞの友情を歌い、その䞀方でクララぞの抑えきれない愛にもがき苊しむ様が䌝わっおくる。厇高な音色は、そんな人のあるがたたを包み蟌むようだった。
 玺色のドレスに着替えお挔奏したのは、ロベルト・シュヌマン「ピアノ・゜ナタ第番 嬰ヘ短調」。クララぞの熱情が泚がれた曲で、第楜章では、岞壁に波打぀ような激しい想いが䌝わる。第楜章からは圌方の星を芋䞊げ、次第に満点の星が茝きだしお共鳎し合い、狂おしい叫びずなっお、恋人ぞの想いが綎られる。
 アンコヌルのロベルト・シュヌマン「トロむメラむ」を聎き終わるず、人のはかなさが身にしみお、客垭ではすすり泣く声も。䜜曲家が、楜譜に氞遠に蚗した「想い」が䌚堎䞭に充満しおいるようだった。鍵盀に向かう北䞭の姿は、凛ずしお矎しかった。金子真由

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    3ペヌゞ
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