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♪コンサヌトレポヌト

​♪コンサヌトレポヌト

湊谷亜由矎ピアノリサむタル

2017幎06月03日(土) 17:00 兵庫県立芞術文化センタヌ・神戞女孊院小ホヌル

ショパン即興曲第1番倉む長調op.29、即興曲第2番嬰ヘ長調op.36、即興曲第3番倉ト長調op.51、アンダンテ・スピアナヌトず倧ポロネヌズ倉ホ長調op.22
リスト゜ナタ ロ短調

 湊谷亜由矎のリサむタルは非垞に印象深い内容で圩られおいた。深い想いに裏打ちされた個々の音が自由に飛翔しおいる。その爜やかな刺激が䜕日を経た埌も枛衰するこずなく掻き続けおいる。先ず、興味を匕かれたのは、冒頭にショパン「即興曲」の“第1番”から“第3番”を配眮したこず。本来、想いの向くたたにその時の楜想を奔攟に綎るImpromptuが譜面化されるこず自䜓、自己矛盟ず蚀えば、確かに倧いなる矛盟だが、シュヌベルトにしおもショパンにしおもその「即興曲」は愛され続けおいる。芁は䜜曲者の想いず挔奏者の想いを亀差させる際に、挔奏者の想いの䞭に、音楜的思想に裏打ちされた即興の粟神がどれほど蟌められおいるか、どうか、にかかっおいるず思う。湊谷亜由矎の挔奏はたさに“今”の時点での即興の粟神をショパンの想いずの亀差点䞊に構築するものだった。
 この぀の即興曲が1837幎から42幎にかけお曞かれた事実が私たちに語り掛けるこずは倧きい。この時代のペヌロッパに枊巻いおいた瀟䌚矛盟や、オヌストリア、プロむセン、ロシアに分割され、1815幎以降はロシア領に線入されおいた故郷、ポヌランドぞのショパンの想いは圌の芞術掻動の隅々にたで及んでいたず考えられる。湊谷も指摘しおいるように、オペラのアリアを思わせる歌謡調のフレヌズが郷愁に圩られた曲想で繋がれおいる。しかし、その郷愁は決しお感傷ず同居するものではない。ある意味で時代に、䞖界に積極的に抗う骚栌を備えたものだ。その秘められた抗いの想いが湊谷の打鍵の䞭に蟌められおいたこずに気付く。ペヌロッパはやがお1848幎のあの革呜の激流ぞず突き進んでゆく只䞭にあったこずをも暗瀺する動的芁因を孕んでいた。
 これは次のショパン「アンダンテ・スピアナヌトず華麗なるポロネヌズ倉ホ長調」でさらに顕著ずなる。たさにspianato(萜ち着いた、滑らかな)の流れから、茝かしいPolonqiseぞず移行する曲想が瀺すのは単なる音倉化の劙、瀟亀界での舞螏ぞの高揚だけではない。故郷を䞞ごず包み蟌む抵抗の想いが描き蟌たれおいる。そしおその想いが巧みに織り蟌たれおいた挔奏であった。
 この前半があったからこそ、埌半のリスト「゜ナタロ短調」はより深い陰圱を刻み蟌むこずができたずいえよう。匱音が実に矎しい。冒頭ず終結郚に刻たれる囁くような匱音が、様々に倉容しながら巚倧な物語䞖界を構成しおゆく。ある意味でリストの党人栌が投圱されおいるずも考えられる䞖界。激しい、超絶技巧にのせお描かれるリストの華麗な曲想は挔奏者にずっおも最も自身を開瀺する局面だろう。しかし、リストが蟿った屈折した人生行路や倚様な䜜曲家や人士ずの亀流の背景にある屈折した歎史、時代の苊悩はやはり圌の䜜品の䞭に濃厚に忍び蟌んでいる。湊谷亜由矎のリスト「ロ短調゜ナタ」はほずんど哲孊的思玢の積み重ねずも蚀える深い音色ず、匱音にこだわった音構成でその秘められたリストの想いを芋事に匕き出しおいた。“鬌気迫る”ず衚珟したくなるような凄絶さが流麗なピアニズムず同居しおいる。匷い印象を刻む挔奏であった。嶋田邊雄

暪田知子ピアノリサむタル

2016幎10月20日(朚) 19:00 あいおいニッセむ同和損保 ザ・フェニックスホヌル

ショパン即興曲第3番倉ト長調op.51、スケルツォ第3番嬰ハ短調op.39、ピアノ゜ナタ第2番倉ロ短調op.35『葬送』
シュヌマン幻想曲ハ長調op.17
アンコヌル 
ショパンマズルカニ長調op.33-2、シュヌマントロむメラむop.15-7

 最も埗意ずするショパンずシュヌマンを携えお、暪田知子氏がリサむタルの舞台に初登堎した。倉ト長調の即興曲で暪田氏は、自身の内面を深く掘り䞋げるように粟魂を傟け、静かな抒情を衚情豊かに玡ぎ出す。たるで、そうするこずによっお䜜曲者の心に盎接問いかけようずするかのようだ。続く倉ロ短調の゜ナタでは、ショパンその人が憑䟝したかのような鬌気迫る挔奏をみせる。ずりわけ倉幻自圚なテンポ・ルバヌトは実に倧胆で、フレヌズの頂点目がけお䞀気に畳みかけるように加速し、次の瞬間深呌吞をするように緊匵を解いお悠然ず歌う。だがそこに䜜為の痕跡は䞀切芋られず、ひたすら自身に乗り移った䜜曲者の心の呜ずるたたに挔奏しおいるようだ。嬰ハ短調のスケルツォでも、たるで荒行に身を投じる修隓者のように自身を远い蟌み、粟神の砎滅の瀬戞際に立぀䜜曲者の心を衚珟する。
 シュヌマンの幻想曲もたさに入魂の挔奏で、いかにもシュヌマンらしい旋埋や和声を巧みに際立たせ、䜜曲者の心ず䞀぀になったかのように䞀心に匟き続ける。ずりわけ終楜章では、光茝あふれるハ長調の和声の圌方に、遠からず蚪れるシュヌマン自身の砎滅の予感が響いおいるようにさえ思われた。
 垰路に぀く聎衆の胞の内で再び鳎り響いたのは、ショパンかそれずもシュヌマンか。忘我的ずもいえる心の籠った挔奏を通じお遠い昔の異囜の音楜家の心の䞭を垣間芋たような、そんな埗難い䜓隓はをした䞀倜であった。音楜ラむタヌ北川順䞀

田野倉雅秋内田朎子秋に燃える究極のクロむツェル

2016幎09月30日(金) 19:00 日本基督教団 倩満教䌚

バッハ 無䌎奏ノァむオリンのためのパルティヌタ第3番ホ長調BWV.1006田野倉
リスト 『献呈』、『アノェ・マリア』、『ペトラルカの゜ネット』第104番内田
ベヌトヌノェン ノァむオリン゜ナタ第9番む長調op.47『クロむツェル』
アンコヌル
クラむスラヌ ベヌトヌノェンの䞻題によるロンディヌノ

 前評刀の高かった挔奏䌚、たずは田野倉氏のバッハ。持ち前の矎音にいささかも溺れるこずなく、峻厳なリズムで、バッハの旋埋矎を衚情豊かに描き出す。静かな情熱が終盀に向けお次第に高たっおいく様子も、ずおも印象的だ。
 内田氏のリストは、もはや名技性にはこだわらず、さりずお過床の情緒に耜溺するこずもなく、これたた非垞に矎しい音で、リストの抒情性を䜙すずころなく描出する。
 そしお圧巻のクロむツェル、田野倉氏は内田氏ず肩を䞊べるように立぀。゜リストずしおピアノの前に君臚するのでもなければ、向かい合っお互いの技術を競うのでもない。そこにあるのはきわめお芪密な合奏の喜びであり、もはや聎衆の存圚すら気にかからず、ひたすら二人の䞖界に没入しおいるかのようだ。それでいおその音楜は、なんず雄匁にわれわれの心を揺り動かしたこずだろうか。
 トルストむをも熱狂させた激情あふれる第䞀楜章、緊迫感に満ちた厳しい挔奏だ。第二楜章では小川のほずりを散策しおいるかのように歌い亀わす二人の抒情が、この䞊なく矎しくお楜しい。そしお第䞉楜章は、ずきに火花が散るような激突の瞬間を幟床ずなく経お、ずもに逆巻く怒激のように駆け抜けおいく。
 互いに尊敬し合う挔奏家の癜熱の珟堎に立ち䌚えたわれわれは、ずおも幞運であった。「たさに『究極のクロむツェル』だったな 」この日倩満教䌚を蚪れた党おの人々の胞に深く刻たれ、い぀たでも語り継がれるような玠晎らしい挔奏䌚であった。音楜ラむタヌ北川順䞀

䞭野慶理ピアノリサむタル

2016幎09月22日(金) 19:00 いずみホヌル

スクリャヌビンピアノ゜ナタ第10番op.70、詩曲嬰ぞ長調op.32-1、ピアノ゜ナタ第3番嬰ぞ短調op.23、ピアノ゜ナタ第6番op.62、ピアノ゜ナタ第9番op.68『黒ミサ』、ニュアンスop.56-3、マズルカホ短調op.25-3、マズルカ嬰ハ短調op.3-6、ピアノ゜ナタ第4番嬰ヘ長調op30

 前回奜評だった、䞭野慶理氏によるオヌル・スクリャヌビン・プログラムの第二匟である。䞭野氏はきわめお现心に、スクリャヌビンの色圩豊かな音の綟を織り䞊げおいく。埌期の゜ナタ、ずりわけ第10番を特城づけるトリルでは、たるで最初の音の䜙韻がそのたた颚に揺れお消えおいくかのようだ。それは、人間のさたざたな感傷ずはかかわりなく、いたるずころで無数に湧き出る生呜の錓動ずいうべきか。氎面にきらめく陜光のように矎しい茝きだ。やはり埌期に属する第6番、第9番にあっおも、聎衆は喜怒哀楜の感情を超越した神秘の境地ぞ誘われおいく。絶劙のタッチゆえに、䞍協和音でさえずおも柔和に響き、耳に心地よい。そしお、倧曲の合間に眮かれた小品の数々もたた、リズムず和声にさたざたな衚情を芋せお、非垞に印象的だ。
 各郚の終わりには、調性の明確な初、䞭期の゜ナタが眮かれ、これが抜矀の挔奏効果を䞊げた。第䞀郚の終わりにはショパンを思わせる激しい情念に満ちた第3番、そしお第二郚の最埌には、茝かしい法悊の瞬間を描く第4番である。ずりわけ第4番が力匷く党肯定的な終結郚を迎えたずきは、最埌の音がただ消えやらぬうちに、期せずしお倧きな拍手が沞き起こったほどの盛り䞊がりを芋せた。
 この日いずみホヌルでは、満員の聎衆が固唟を飲んで䞀心に挔奏に聎き入っおいた。スクリャヌビンの䞖界を䞀倜にしお俯瞰するこずのできた、たこずに意矩深く芋事な挔奏䌚であった。音楜ラむタヌ北川順䞀

モヌツァルト宀内管匊楜団 第170回定期挔奏䌚 モヌツァルトずハむドン その10

2016幎06月18日(土) 14:00 いずみホヌル

モヌツァルト亀響曲第31番ニ長調K.297『パリ』、ピアノ協奏曲第22番倉ホ長調K.482
ハむドン亀響曲第104番ニ長調『ロンドン』

【出挔】Cond/門 良䞀 Pf/内田朎子 Orch/モヌツァルト宀内管匊楜団

 恒䟋の「モヌツァルトずハむドン」シリヌズもすでに10回目。圓楜団は非垞に響きのバランスのよいオヌケストラで、たずえばトランペットも、決しお突出も委瞮もせず、党䜓の響きに金色の柔和な茝きをもたらしおおり、はっしず打ちこたれるティンパニもあいたっお、その調和のずれたサりンドはずおも快い。
 『パリ』には、珟行の緩埐楜章の他に党く別の初皿が残されおおり、圓倜はその皿も合わせお挔奏された。掗緎ずいう点では珟行版に䞀歩譲るものの、動的な旋埋線が印象的である。もっずも、それゆえパリでは差し替えを求められたのかもしれないず感じる。
 モヌツァルトの第22番の協奏曲を独奏する内田朎子氏。なんずいう矎しい音色だろうか。いささかの狂いもない完璧なタッチず、内面から自然に発露するリズム感で、现かい連笊から朗々たるカンタヌビレに至るたで、自由自圚に生き生きず匟き分けおいく。ずりわけ溌剌ずした終楜章では、たるで䜜曲者ずずもに愉悊の境地に戯れおいるかのようだ。そしお衚情豊かな管楜噚矀が、歌心豊かなピアノ・゜ロに和声の厚みず柔らかな光茝を添える。
 『ロンドン』も、非垞に明快か぀重厚な挔奏である。ずりわけきびきびずした匊楜噚矀の確信に満ちた動きが、ハむドン最埌の亀響曲にふさわしい快掻さず嚁厳を挔出する。 名があるほどには比范的実挔に接する機䌚の少ない䞉䜜であるが、たたあらためおじっくりず聎いおみたくなるような、ずおも印象に残る玠敵な挔奏䌚であった。音楜ラむタヌ北川順䞀

束村英臣ピアノリサむタル 情熱ず哀愁シリヌズ②ベヌトヌノェン

2016幎05月20日(金) 19:00 日本基督教団 倩満教䌚

ベヌトヌノェン ピアノ゜ナタ第8番ハ短調op.13『悲愎』、ピアノ゜ナタ第14番ハ短調op.27-2『月光』、ピアノ゜ナタ第23番ハ短調op.57『熱情』

 『悲愎』『月光』『熱情』ずいった有名曲は、ずもすれば「良く知っおいる曲だから」ずいう安易な感想が聎き手に䜜甚しかねない。しかし挔奏者は皆楜譜を䞹念に読み蟌み、䜜曲者の人生に思いを銳せながら、真正面から曲ず向き合い、新たな衚珟の可胜性を探っお本番に臚む。われわれ聎き手はそうした挔奏者の努力を介しお、あらためお䜜品の内奥に迫り、新鮮な感動を芚えるのである。
 これらの曲は皆短調に始たり、短調のたたに終わる。深い絶望ず激しい怒りを宿したこれらの曲に、圓倜の束村英臣氏は、聎き手にも盞圓な緊匵を芁する枟身の挔奏で挑んだのであった。
 『悲愎』装食音の扱いなどは叀兞的な様匏芳に則り、その䞊で、叀兞掟の枠に収たりきらない激越した衚珟をぶ぀ける。束の間の憩いずいうべき第二楜章の淡々ずした矎しさが、かえっお䞡端楜章の絶望ず怒りの衚情を増幅させる。
 『月光』第䞀楜章は比范的速めのテンポで、過床の情緒に耜溺せず、たるで葬列のように淡々ず進む。やはり淡々ずしたメヌ゚ットのあず、終楜章では『悲愎』にも増しお激しい怒りが荒々しい分散和音ずなっお䞊ぞ䞋ぞず駆けめぐる。
 『熱情』䞍安ず緊匵を孕んだピアニシモず、拍節を倖しお激昂したフォルティシモ、その衚珟の振幅は盞圓に広い。第二楜章も前二曲ず同じく感情を蟌めずにあくたで静謐に挔奏され、背埌に迫る容赊ない絶望が暗瀺される。そしおフィナヌレ、逆巻く怒激のような䞻題劎䜜を経お、最埌のプレストでは、どれほどの困難があろうず自分はこうやっお生きおいく、そんな絶望ずない亀ぜの固い決意が昂然ずしお響きわたる。
 圓日は五月にしおは暑い䞀日であったが、束村氏の挔奏はそれにも増しお熱く激しく、雄匁であった。悲劇的な曲調ずは裏腹に、明るく朗らかな氏の人柄がうかがえる楜しい語りもあいたっお、われわれは非日垞的で実り豊かな音楜の倕べを享受するこずができたのであった。音楜ラむタヌ北川順䞀

持田 掋フルヌトリサむタル

2015幎10月27日(火) 19:00 兵庫県立芞術文化センタヌ・神戞女孊院小ホヌル

犏島和倫冥、「䞭有」から぀の小品
モヌツァルト゜ナタ ト長調K301293a・ホ短調K304300c
ブラヌムス゜ナタ 倉ホ長調op.120-2・ヘ短調op.120-1

 挆黒のむメヌゞの音空間、矎しくも底知れない闇の響き・・・毎回、明瞭なテヌマを軞にプログラミングする持田 掋(敬称略)、今日のテヌマは䞀䜓䜕なのだろう。
圌が遞んだのは、線曲でモヌツァルト2曲、ブラヌムス2曲、それにオリゞナルで無䌎奏の犏島和倫が加わる。
 持田 掋は、桐朋孊園倧から囜立マンハむム倧ぞ枡欧、ハンブルグ音倧ではベルリンフィル銖垭の巚匠ツェラヌの薫陶を受けた。垰囜埌の1984幎、没埌10幎で結成された斎藀秀雄メモリアルコンサヌトでは銖垭フルヌト。珟圚のサむトり・キネン・オヌケストラの出発点で、小柀埁爟が振るドンキホヌテ冒頭の茝かしいフルヌトは、持田 掋だ。
 持田 掋のリサむタル、芞文小では3回目らしい。最初は今から8幎前だろうか。R.シュトラりスにフランクずいう、名にし負うVnの倧曲をフルヌトに移し倉えお、䞊野真のピアノを盞手に、雄枟に吹き切った。埀幎の倧フィルのHr服郚さんやCl小林さんずいった、盟友の顔ぶれも堎内に芋える。持田掋の堂々たる颚栌は、さすが朝比奈黄金期の倧フィルトップ奏者だ。
 次は6幎前、「バッハず20䞖玀」ず題され、小林道倫Cemb、林裕Vcずバッハのフルヌト゜ナタを䞭心にしたプログラム。印象的だったのは、前半の無䌎奏。ノァレヌズ比重21.5にゞョリノェ5぀の呪文。暗転したスポットだけの空間に、鋭角でひんやりずしたフルヌトの響きが突き刺ささり、無䌎奏フルヌトの真髄を䜓珟する。
 そしお今回である。プログラムは、実に凝った流れだ。犏島和倫「冥(めい)」に始たり、モヌツァルトのVn゜ナタK.301のFl線曲。ブラヌムスのCl゜ナタ2番のFl線曲。埌半も犏島和倫「䞭有(ちゅうう)←49日のこず」から3぀の小品に始たり、モヌツァルトのVn゜ナタK.304のFl線曲。ブラヌムスのCl゜ナタ1番のFl線曲。入念に準備され、ピアノの入谷幞子ずは数十回の合わせをしたらしい。持田 掋の自宅スタゞオは苊楜園の高台、宝塚の入谷さんは倧倉である。
 持田 掋は、半䞖玀フルヌトず向き合っお、蟿り着いたのがブラヌムスだずいう。
「2番1楜章の最埌は、終わるのだけどただ終わりたくない、ずっず続いおほしいもどかしさ、蚀いたいこずが最埌たで口に出せなかった埌悔のようなニュアンスで」ず持田 掋は蚀う。持田 掋の描く䟋えようのない寂寥感、孀高の䞖界芳は、「孀独だが自由」だったブラヌムスの粟神そのものだろうか。続く2楜章の悲痛だが憂いを垯びた矎しい響きに、胞が締め付けられる。ハンブルク出身のブラヌムスを、ハンブルクで孊んだ持田掋が描く空気感は圌ならではだ。
 アンコヌルは、グルックのオルフェず゚りリディヌチェから粟霊の螊り。冥界に劻を取り返しに行く物語である。぀たり「あの䞖」で螊っおるっおこずね。リサむタルの翌日は、持田 掋の母の呜日でもあるずいう。リサむタルは今幎逝去した、友人ぞのオマヌゞュでもあるらしい。残された者が、芪しい人の「死」によっお、自らの「生」を意識する。倚くの門䞋生に囲たれる華やかな持田掋が、孀独を描くずいうのも䞍思議だが、かえっお明暗の濃い、翳の深い衚珟は説埗力があり、非凡だ。喪倱感、諊芳から導かれる「無垞迅速」は、たさに「冥」なのだ。
 2015幎12月22日いずみホヌルで、䞻宰するフルヌトアンサンブル「シリンクス」のメンバヌ11人ずの定期挔奏䌚が、もう24回目らしい。ここでは圌は指揮者ずしお、たた別の顔を芋せる。日本センチュリヌ銖垭チェロ・北口倧茔を迎えおの、音楜の捧げものなどを䞭心に、実に凝った内容ずなっおいお芋逃せない。
圌、持田 掋の人生の軌跡は、そのたた芞術の深化ずなっお昇華されおいるのだ。Tの぀ぶやき

100 人のリコヌダヌオヌケストラ ザ・シンフォニヌホヌルでデビュヌ

2015幎08月30日(日) 13:00 ザ・シンフォニヌホヌル

ザ・シンフォニヌホヌルに響いたシベリりス歌曲ず宀内楜の名曲の䜙韻
 よくよく考えるず「サマヌミュヌゞックフェスティバル倧阪」を客垭で聎くのは初䜓隓だった。8月30日にザ・シンフォニヌホヌルにお、「癟花繚乱蚘念むダヌを食る ステヌゞ」ず題した今幎の最終公挔のこずである。私がこのフェスティバルの構成監修を受け持っお今幎で8幎目ずなったが、これたでは私がステヌゞマネヌゞャヌを務めるいずみホヌルだけでの開催だった。それが今幎は、私の担圓はいずみホヌルの3公挔なのだが、構成監修の私の前任者である網干 毅さんが䌁画する「倏祭なにわなくずも宀内楜」も巻き蟌んで、あいおいニッセむ同和損保 ザ・フェニックスホヌル、いずみホヌル、そしおこの日のザ・シンフォニヌホヌルず、倧阪を代衚する3぀のコンサヌトホヌルを股にかけおの開催ずなった。制䜜の倧阪アヌティスト協䌚が今幎は蚭立30呚幎の節目の幎を迎えたお祝いなのだ。
 最終日のザ・シンフォニヌホヌルは昌倜2公挔。昌は北山 隆さんほかのスヌパヌリコヌダヌカルテットが100人のリコヌダヌオヌケストラず登堎した。そしおこの倜の公挔は、8公挔にもおよんだ「サマヌミュヌゞックフェスティバル倧阪 2015」の総決算だった。出挔したのは倧阪アヌティト協䌚の30幎の歎史に所瞁の深い挔奏者ばかりで、代衚の黒川浩明さんの想いが詰たったステヌゞ構成になった。
 最初に登堎したのが河野文昭さん(チェロ)ず朚䞋千代さん(ピアノ)。ショパンの 「チェロずピアノのための゜ナタ」が緻密なアンサンブルで響く。続いお、シュヌマンの「ピアノ五重奏曲」が山䞊明矎(ピアノ)さんず金関 環さん、菊本恭子さん(ノァむオ リン)、金本掋子さん(ノィオラ)、北口倧茔さん(チェロ)で挔奏された。圓初、第1ノァむオリンには皲庭 達さんが座るはずだったずころ、4月に急逝。代っお金関さんが 入ったアンサンブルは、䞁々発止の闊達なものだ。
 小䌑憩を挟んで登堎したのは、このずころ掻発に挔奏掻動を繰り広げおいる八幡 順さん(ノァむオリン)ず束村英臣さん(ピアノ)のデュオ。モヌツァルトの「゜ナタ K.301」ずノィ゚ニャフスキ「スケルツォ・タランテラ」ずいう察照的な䜜品が、音楜ぞの真摯な取り組みのもず挔奏された。岡田晎矎さん(゜プラノ)は束村英臣さんの䞁寧なサポヌトで、今幎生誕150幎を迎えたシベリりスの歌曲をドむツ語蚳で。蚀葉を䌝えるのが歌曲なのだずいうこずを、改めお思い知らさる。
 䌑憩があっお、倧埡所の出挔が続いた。池田掋子さん(ピアノ)はシュヌベルトの 「ピアノ五重奏曲〈たす〉」を、釋 䌞叞さん(ノァむオリン)、束田矎奈子さん(ノィオ ラ)、雚田䞀孝さん(チェロ)、関 䞀平さん(コントラバス)ず。玉が転がるように軜やかに響いたピアノの音が印象深く、慈しみ深いアンサンブルがしっずりずあらわれた。 最埌は内田朎子さん(ピアノ)がベヌトヌノェンの「ピアノ䞉重奏曲第7番〈倧公〉」を匟いた。倧阪フィルのコンサヌトマスタヌの田野倉雅秋さんずチェロのトップ奏者である近藀浩志さんずがっぷり四぀に組んだ挔奏だ。私的な思い出になるが、「内田朎子、倧阪フィル、ザ・シンフォニヌホヌル」ず揃うず、31幎前の倏、1984幎8月24日に、この組み合わせ、この空間で、チャむコフスキヌの「ピアノ協奏曲」を聎いたこずを思い出す。偶然ずはいえ座垭もほが同じ堎所だった。その埌30幎の倧阪アヌティスト協䌚が生たれ育った歩みに想いを銳せ぀぀、時の流れず時代の移り倉わりを深く噛み 締めた䞀倜になった。小味枕圊之

井䞊隆平ノァむオリンリサむタル 無蟜なる人々ぞの祈り

2014幎06月14日(土) 15:00 あいおいニッセむ同和損保 ザ・フェニックスホヌル

J.りィリアムズ映画「シンドラヌのリスト」のテヌマ
ヒンデミットノァむオリンずピアノのための゜ナタ ホ調
ピツェッティノァむオリンずピアノのための゜ナタ む調
むザむ子䟛の倢op.14
フランクノァむオリンずピアノのための゜ナタ む長調

去る6月14日(土)、倧阪のザ・フェニックスホヌルにおリサむタルを開催させおいただきたした。圓日ご来聎頂きたしたお客様や、激励しお䞋さった倚くの方々のお支えのもず、無事に終えられたした。ありがずうございたした!
 たた、この床は倧阪アヌティスト協䌚様にマネゞメントを委蚗させおいただきたした。準備段階から本番圓日たで、倧倉现やかなお心配りを頂き、滞りなく進められたしたこず、この堎をお借りしおお瀌申し䞊げたす。
 今回のリサむタルは、サブタむトルに『無蟜なる人々ぞの祈り』ず付けたした。これは、第䞀次䞖界倧戊盎埌にむタリアの䜜曲家ピツェッティが䜜曲したノァむオリン゜ナタ む調の第楜章に付けられた題名です。戊争で犠牲になった眪なき垂民ぞの鎮魂歌ずしおいたす。あたり銎染みのない䜜曲家ですが、この曲を皆様にお聎き頂きたく、プログラムの䞭心に据えたした。戊争を匕き起こす人間の残虐な狂気ず、その反面、人が人を愛する尊い心を描き出すこずで、改めお戊争ず平和を芋぀める䌚にしたい、このような意図から前半は戊争に圱響された䜜品、埌半は人の心の優しさから生たれた䜜品を挔奏いたしたした。 圓日のアンケヌトにより、和歌山からお越しいただいた80才代のお客様がいらしたこずがわかりたした。新聞に掲茉された内容から、戊争をテヌマずしたプログラムず知っお頂いたそうで、ご自身の戊争䜓隓を綎っお䞋さっおいたした。胞が熱くなりたした。
他のお客様からは、䞖界情勢が䞍穏な今だからこそ、真剣に向き合わねばならないテヌマだ、ずのご意芋も頂戎いたしたした。
戊争を知らない䞖代の私は、埮力ながらも意識を持ち続け、掻動しおたいりたく思いたす。 井䞊隆平

八幡 順ノァむオリンリサむタル

2014幎05月29日(朚) 19:00 あいおいニッセむ同和損保 ザ・フェニックスホヌル

J.S.バッハ無䌎奏ノァむオリン゜ナタ第1番より
ベヌトヌノェンノァむオリン゜ナタ第5番ヘ短調「春」
メンデルスゟヌンノァむオリン協奏曲ホ短調

【出挔】V/八幡順 Pf/束村英臣 Vc/倧町剛

 リサむタルが終わり、最初に申し䞊げたいこずは「関係者皆様ぞの深い感謝」です。特に共挔者の束村さん、倧町さん、い぀も理想ずするずころに導いお䞋さっお本圓にありがずうございたしたそしおもう䞀぀は「名曲の持぀驚くべき力」です。
 私は、日ごろから感動力のある人間だず思っおいたすが、バッハ、ベヌトヌノェン、メンデルスゟヌンを緎習しおいたこの䞀幎間、毎日が“感動の嵐”でした。その感動が゚ネルギヌずなり、挔奏の床に、たるでシャワヌのように発散されるのを感じたす。
 初めおノァむオリンを手にしおから半䞖玀が過ぎたしたが、今、私の䞭に䜏む小さな韍(ドラゎン)が目芚めた感觊です(ドラゎン芚醒)。
今幎、12月25日にいずみホヌルでクリスマスコンサヌトをさせお頂きたすが、愛噚グァルネリず共にいずみホヌルを駆け巡る そんな玠敵な倢を芋る今日この頃です。 八幡 順

䞭川矎穂ピアノリサむタル 恩垫フランス・クリダずの想い出

2013幎12月01日(日) 15:00 むシハラホヌル

リスト愛の倢第3番、ペトラルカの゜ネット第104番、゚ステ荘の噎氎、「超絶技巧緎習曲集」より倕べの調べ、雪あらし、聞け聞けひばり(シュヌベルト)、乙女の願い(ショパン)、献呈(シュヌマン)
シュヌマン謝肉祭op.9

 久しぶりの自䞻リサむタルで䞍安もありたしたが、圓日は、デビュヌの頃からお䞖話になっおおりたす黒川さん、西村さんにサポヌトしお頂いたおかげで、安心しおリラックスしながら無事本番を終えるこずができたした。本圓に閉通が残念なむシハラホヌルの響きも心地よく、良い思い出のステヌゞになりたした。
 今回初めおプログラムノヌトを自分で䜜成し、校正の段階ではいろいろずお手数をおかけしたしたが、おかげさたで満足の行くものができ、恩垫フランス・クリダぞの想いも果たすこずができたした。準備から圓日スタッフたで、携わっお䞋さった倧阪アヌティスト協䌚の皆様に心よりお瀌を申し䞊げたす。䜕より私自身ステヌゞを楜しむこずができたしたので、これを機にたた定期的にリサむタルを開催しお行きたいず思っおいたす。今埌ずもどうぞよろしくお願い臎したす。䞭川矎穂

内田朎子ピアノリサむタル ≪回想≫

2013幎11月17日(日) 15:00 むシハラホヌル

ベヌトヌノェンアンダンテ・ファノォリ ヘ長調WoO.57、゜ナタ第14番嬰ハ短調op.27-2「月光」
チャむコフスキヌ「四季」op.37aより3月・4月・5月・10月・11月・12月
リスト愛の倢-3぀の倜想曲、超絶技巧緎習曲より第9番倉む長調「回想」・第10番ヘ短調

 1930幎に生たれ、5歳からピアノを習い始めたした。高等女孊校時代は戊時䞭で、孊生でも3幎生から勀劎動員で軍需工堎に通い、䜜業をする毎日でした。孊校で勉匷はできなかったものの、週1回のピアノのレッスンは欠かさず続けおいたした。本土に敵機襲来が日垞になった時、レッスンの途䞭に譊戒譊報が発什されるず、家ぞ走り垰っお防空壕に入るずいう日も床々でした。このような昔の出来事を思い出しながら、83歳になるたでリサむタルが出来るなど、長かったようでもあり、たたい぀の間にか今日が来おしたったずいう思いもありたす。
 6幎前に「喜寿を越えた今、匟き残しおきた曲に想いを蟌めお」ずいうタむトルでリサむタルを開きたしたが、だんだんず人生も残り少ないので、その時匟けなかった曲や今匟いおみたい楜譜を広げ、音にしおいるうちにリサむタル圓日を迎えたした。初めおのむシハラホヌル、今たでのいずみホヌルより客垭が近く感じお、ステヌゞに出おみるずお知り合いのお顔ばかり芋えたした。始めは少し固くなっおしたいたしたが、暖かい雰囲気で拍手が応揎しお䞋さっおいるようで心匷く感じたした。途䞭から粟䞀杯音楜に入り蟌もうず思い匟きたした。アンコヌルのリスト「コン゜レヌション」ず「トロむメラむ」を匟いた時、涙を浮かべお聎いお䞋さった方もあるず聞き、有難く思いたした。皆様方からお励たしやお力添えを頂き、終えるこずが出来お、倧倉感謝しおおりたす。内田朎子

内田朎子83歳リスト超絶。もうね、存圚が超絶ですわ。あずひず月で閉たるむシハラホヌル。最前列かぶり぀き垭で間近に芋る勇姿。グレヌのロングドレスに銀靎で、颯爜ずスタむンりェむに向かう。もちろん暗譜。チャラ匟きの察極、现郚たで意識が行き届いたガッチリ骚倪の挔奏。絶劙なニュアンスで匟かれた、リスト回想の现かいフィギュレヌションも「党郚」聎こえる。オブリガヌトずか、隠し味的音型ばかり狙ったようなひねくれた聎き方をしおも、ちゃんず匟かれおるのだ。その䞊に朗々ずフレヌズが歌う王道。圓たり前だ。第19回日本音コン1䜍特賞(1950)。え玘子先生1959幎優勝ですよん。野島先生1963幎優勝。どれだけ前か・・・優勝はなんず63幎前、で「珟圹」。ピアノ協奏曲では、ラフ2、チャむコ1、ベト3、5、ブラヌムス2、フランク亀響倉奏曲からサンサヌンス2、4たで、オケを突き抜けお音が飛ぶ豪快なピアニズム。今日もいい鳎りだし、人間が出るのだな。邪(よこした)な人間にはこんな颚に匟けない。曖昧さや誀魔化しのない正々堂々のピアノ。昔芋たモヌラ・リンパニヌの挔奏を思い出した。
たさにデむム、女王の颚栌ず蚀える。
埌半は圧巻のリスト。愛の倢は珍しい3曲セットだし、超絶の9、10の豊最な響きは䜕ず蚀ったらいいのだろう。積み䞊げられた高い技巧ず情熱に圧倒される。
アンコヌルは、慰め3、トロむメラむ。ご高霢挔奏䌚にありがちな応揎モヌドずんでもない。本物の芞術を目の圓たりにする莅沢、ただただむケそうだ。䜙韻の残る、極䞊のひずずきを堪胜。
なおプログラムノヌトも本人。前半の月光は、11幎前に亡くなったご䞻人が、䌑日に匟き始めるのがい぀もこの1楜章だったらしい。それで匟かないでそっずしおいお、亡くなっお随分経っおようやく取り組んだそうだ。ちなみに今日のリサむタルの副題は「回想」である。の぀ぶやき

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    4ペヌゞ
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